【産後の現実】なぜ夫婦はセックスレスになりやすいのか?主な理由と乗り越えるためのヒント

「出産前は問題なかったのに、赤ちゃんが生まれてから夫婦の関係が変わってしまった」「セックスレスになってしまったのは、私たちだけ?」

出産は、夫婦にとって人生最大の喜びですが、同時に夫婦関係に大きな変化をもたらします。特に**セックスレス(性交渉がない状態)は、多くの夫婦が直面する非常にデリケートな問題です。これは特別なことではなく、身体的、精神的、環境的な複数の理由が絡み合って起こる「産後の現実」**の一つです。

この記事では、出産後に夫婦がセックスレスになりやすい主な理由を深掘りし、その状況を理解し、乗り越えるための具体的なヒントを詳しく解説します。


1. 身体的な変化とホルモンによる要因

産後のママの身体は、出産と育児のために劇的な変化を経験しています。これはママの意欲に直接影響します。

1-1. 産後の身体的ダメージと回復期間

出産は身体に大きな負担をかけます。傷の回復には時間が必要であり、性交渉の再開には**医療的な許可(産後1ヶ月検診など)**が必要です。

  • 会陰切開や帝王切開の傷: 傷の痛みや治癒への不安が、性交渉への心理的なハードルになります。

  • 悪露(おろ)や体の不調: 産後しばらく続く出血や、骨盤のゆるみ、疲労などが、性交渉を受け入れがたい身体的状況を作ります。

1-2. 性欲を減退させる「ホルモン」の影響

出産後に分泌される特定のホルモンが、性欲を抑え、育児に集中させる役割を果たします。

  • プロラクチンの作用: 授乳中に大量に分泌されるプロラクチンというホルモンは、母乳生成を促す一方で、排卵を抑制し、性欲を減退させる作用があります。これは自然な生理現象です。

  • エストロゲンの低下: 授乳中のママは女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が抑えられ、腟の乾燥(潤滑不足)を引き起こしやすくなります。これが性交渉時の痛みの原因となり、セックスへの意欲を低下させます。


2. 精神的・心理的な要因

ママの意識が「妻」から「母親」へと変化することで、夫婦間の性的な役割意識が大きく変わります。

2-1. 「母親」としてのアイデンティティ変化

多くのママが、出産を機に**「性の対象」としての自分「母親」としての自分**を切り離して捉えるようになります。

  • 体型へのコンプレックス: 妊娠や出産で変化した体型(体重増加、皮膚のたるみ、傷跡など)にコンプレックスを感じ、「性的な目で見られること」を拒絶する心理が働くことがあります。

  • 「性欲」を感じることへの罪悪感: 育児中は「母親として常に清らかでいるべき」というプレッシャーから、性欲を感じる自分に罪悪感を抱き、無意識に性交渉を避けることがあります。

2-2. 育児による慢性的な「睡眠不足と疲労」

新生児の育児は、夜間の授乳やお世話により、慢性的な寝不足と疲労を伴います。

  • 疲労が性欲を上回る: パパがいくら性交渉を求めても、ママにとっては**「休むこと」が最優先の欲求**になります。疲れ切った状態では、性的な意欲がわかないのは当然のことです。

  • 物理的な時間不足: 夫婦二人の時間が確保しづらくなるため、性交渉のタイミング自体が見つかりにくいという環境的な問題も加わります。


3. パパと夫婦関係における要因

セックスレスはママだけの問題ではなく、パパの行動や夫婦間のコミュニケーション不足も大きく影響します。

3-1. パパの「配慮の欠如」や「認識の変化」

パパ側の態度や接し方が、ママの心を閉ざしてしまうことがあります。

  • 「性的な対象」から「母親」への見方の変化: パパがママを「妻」としてではなく、「赤ちゃんの母親」としてしか見られなくなるなど、パパ側の心理的な変化がママに伝わり、拒否感を生むことがあります。

  • 育児分担への不満: ママが育児の負担を一人で負っていると感じている場合、「手伝いもしてくれないのに、自分の欲求だけ求めるなんて」という不満や怒りが、性交渉への拒絶として表れることがあります。ママの心と体の疲労への配慮が欠けていると、セックスレスは加速します。

3-2. 夫婦間のコミュニケーション不足

産後のセックスレスの最大の根本原因は、デリケートな問題に関する**「対話の不足」**です。

  • 性交渉以外のスキンシップ不足: 性交渉がない分、手を繋ぐ、抱きしめる、キスをするといった性交渉を伴わないスキンシップが減ると、夫婦の距離はさらに開いてしまいます。

  • 不安や願望の共有不足: ママは「まだ痛い、体が嫌だ」と言いづらく、パパは「拒否されるのが怖い」と言い出せずに、お互いの気持ちを内に秘めてしまうことで、溝が深まってしまいます。


4. セックスレスを乗り越えるためのヒント

セックスレスは、愛情がないことの証明ではありません。状況を改善するためには、性交渉以外の部分から関係を修復していくことが大切です。

  • ねぎらいと感謝を言葉に: パパはまず育児への感謝を毎日伝え、ママの疲労をねぎらうことを最優先にしましょう。**「安心感」「性的な意欲」**よりも先に来ることを理解しましょう。

  • 育児の「可視化」と分担: パパが積極的に家事や育児を担い、ママの**自由な時間(休息)**を意識的に作りましょう。

  • 会話で解決: セックスレスについて感情的にならず、「再開には時間がかかるかもしれないけれど、夫婦の愛情を深めるために何ができるか」を冷静に話し合いましょう。

  • 性交渉以外のスキンシップの復活: 手を繋ぐ、隣で寝る、マッサージするなど、性交渉を前提としない親密な触れ合いを増やし、夫婦の絆を再構築することが、産後のセックスレス解消への最も大切な一歩です。