【専門家解説】性欲減退の鍵は「ホルモン」にあり!バランスを整えるための具体的アプローチ


「最近、性欲がわかないのはなぜ?」「ホルモンバランスが崩れている気がするけれど、どう影響しているの?」

性欲の低下は、年齢や環境の変化によって多くの人が経験するデリケートな悩みです。性欲は、単なる心理的な問題ではなく、私たちの体内で分泌される**「ホルモン」という化学物質によって複雑にコントロールされています。特に加齢、ストレス、ライフイベント**は、このデリケートなバランスを簡単に崩してしまいます。

この記事では、性欲減退に深く関わる主要なホルモンの働きを分かりやすく解説し、ホルモンバランスを整えるための具体的な生活習慣と対策をご紹介します。


1. 性欲を左右する主要な「性ホルモン」の役割

性欲の強弱は、主に男女ともに存在する性ホルモンによって決まります。これらのホルモンが減少したり、他のホルモンとのバランスが崩れたりすることが、性欲減退の直接的な原因となります。

1-1. 性欲の源「テストステロン」

テストステロンは、しばしば「男性ホルモン」と呼ばれますが、実は女性にとっても性欲の根幹となる最も重要なホルモンです。

  • 役割: 意欲、活動性、筋肉量の維持に関わり、性的な関心や衝動を強く引き起こします。

  • 性欲との関係: 男女ともに、テストステロンの分泌量が減ると、性欲や性的な興奮を覚えにくくなります。特に男性は加齢(LOH症候群など)で減少しやすく、女性は更年期や過度なストレスでバランスが崩れ、減少します。

1-2. 女性の性欲と潤いに必須「エストロゲン」

エストロゲンは「女性ホルモン」の代表格で、女性の生殖機能や身体的な特性を支えています。

  • 役割: 月経周期の制御、肌や髪のツヤの維持、骨密度の維持、そして**膣の潤滑(潤い)**に深く関わります。

  • 性欲との関係: エストロゲンが低下すると、性的な意欲が減退するだけでなく、膣の乾燥(萎縮性膣炎)を引き起こし、性交時の痛みの原因となります。これにより、性交渉そのものを避けるようになり、性欲減退につながります。

1-3. 興奮と満足に関わる「ドーパミン」と「オキシトシン」

性行為や性的な興奮には、脳内で働く神経伝達物質も大きく関わっています。

  • ドーパミン(快感ホルモン): 性的な刺激や行為によって分泌され、**「快感」や「もっと欲しい」という意欲(欲求)**を高めます。

  • オキシトシン(愛情・絆ホルモン): 抱擁や触れ合いなどの親密なスキンシップで分泌され、パートナーへの愛情や信頼を深めます。これが不足すると、心理的な距離が開き、結果的に性欲減退につながることがあります。


2. ホルモンバランスが崩れる主な理由

性欲を減退させるホルモンバランスの崩れは、主に以下の要因によって引き起こされます。

2-1. ライフイベントと「プロラクチン」

特に女性において、妊娠・出産・授乳期は性欲が大幅に低下する最も一般的な時期です。

  • プロラクチンの過剰分泌: 授乳中はプロラクチン(母乳生成ホルモン)が大量に分泌されます。このホルモンは、性欲を司るエストロゲンやテストステロンの働きを強力に抑制するため、性欲減退を引き起こします。これは、育児に集中させるための自然な生理現象です。

2-2. 慢性的な「ストレス」と「コルチゾール」

仕事や人間関係、育児による慢性的なストレスは、性ホルモンを大きく乱します。

  • コルチゾールの増加: ストレスが続くと「ストレスホルモン」であるコルチゾールが過剰に分泌されます。コルチゾールは、性ホルモン(テストステロンやエストロゲン)の原料を奪って作られるため、ストレスが続くほど、性ホルモンの生成量が減ってしまうという悪循環に陥ります。

2-3. 睡眠不足と不規則な生活

性ホルモンを含む多くのホルモンは、主に睡眠中に分泌されます。

  • 分泌の阻害: 睡眠不足不規則な生活は、ホルモン分泌のリズムを狂わせます。これにより、日中の活動性を高めるテストステロンの分泌が抑制され、性欲減退につながります。


3. ホルモンバランスを整え、性欲を取り戻すための対策

性欲減退を改善するには、ホルモン剤の治療が必要なケースもありますが、まずは日常の生活習慣を見直すことが基本です。

3-1. 生活習慣の見直しと質の高い睡眠

ホルモン分泌のリズムを正常に戻すことが最優先です。

  • 睡眠の確保: 1日7時間以上の質の高い睡眠を確保し、決まった時間に寝起きする規則正しい生活を心がけましょう。

  • 適度な運動: 筋肉量を維持し、血行を促進する筋力トレーニングやウォーキングは、テストステロンの分泌を促す効果が期待できます。

3-2. 食事とサプリメントによるサポート

ホルモンの材料となる栄養素を意識的に摂取しましょう。

  • たんぱく質と脂質: ホルモンの原料となる**良質なたんぱく質(肉、魚、大豆)**と、**コレステロール(卵、アボカド)**をバランスよく摂りましょう。過度なダイエットはホルモンバランスを崩します。

  • 亜鉛とビタミンD: 亜鉛は性ホルモンの生成に不可欠です。牡蠣、赤身肉、ナッツ類などから積極的に摂取しましょう。

3-3. ストレスとパートナーシップの改善

心理的なリラックスは、ホルモンバランスの安定に直結します。

  • ストレス解消: 趣味やリラクゼーション、瞑想など、自分に合ったストレス解消法を見つけ、コルチゾールの過剰分泌を抑えましょう。

  • 性交渉以外の触れ合い: 性交渉を求めすぎず、手をつなぐ、ハグをする、マッサージをするといったオキシトシンの分泌を促す親密なスキンシップを増やすことが、結果的に性的な意欲を回復させる鍵となります。

性欲減退は、あなたの体が**「休息が必要」「生活習慣を見直して」**と発しているサインかもしれません。まずはご自身のホルモンバランスに影響を与える要因を見極め、適切な対策を講じることが大切です。